心理カウンセラーで塾講師のひそひそ話

先日、ちょっと気にかかることを聞きました。

「この間ここやめた●●ちゃん、テストダメだったみたい。」

実は突然うちの教室から別の学習塾に替わっていった子がいたのです。

理由はわかっています。

お母さんが思ったほど、成績が伸びなかったから。

私には生徒の状況と態度で成績が上がり始める時期が分かるので
もう少しかかることをお伝えしてたのですが・・・・・

待てなかったんですね。

私が気づくのが遅く、コミュニケーションを取ろうとした時には
もう次の塾の手続きをされていたようです。

別に、その子の為になるのであれば、うちの教室でなくても
よいのですけれど（ちょっと寂しいけど）

その生徒には、心理的なプレッシャーがかかっていたことが
最初からわかっていたのです。

そのお母さんはとても誠実そうに見えましたが。
親がもっともやってはいけないことをやっていたのです。

「兄弟と比べる」ということを。

とてもできの良いお兄さんと比べられて
普段から心理的にかなり追い込まれていることが
最初の面談でわかっていたのです。

しかし、いきなりそのお母さんにその話はできません。
まずお母さんとも信頼関係を築かなければいけませんからね。

うちの教室に入ってしばらくして
その生徒とはかなり良い関係を築き始めていました。

家ではほとんど無口で無表情だったそのこは
友達が驚くほど、教室でははしゃぎまくっていました。
（教室での様子を少しお母さんに話すととても驚いていましたよ。）

その子には、お兄さんとのことは気にしないように声をかけながら
「その子とお母さんとの関係」も壊さないようにも気を配っていた。

突然教室をやめたのはそんなときのことだったのです。

通っている生徒が教えてくれました
「●●ちゃん、私より成績悪かったみたい。」
教えてくれた子は辞めた子よりもかなり成績は下だったんです。

これがそのこに与えた影響は大きいと想像出来ます。

他人と比較されたとき、良く分からないと、
比較された人そのものになろうとします。

しかし、努力する部分だけでなく、本来合わすことのできない資質などにも
自分を合わせようとしてプレッシャーがかかり
真面目であればあるほど本来の自分まで失ってしまう。

「お母さんに言われたから、ここをやめる。」と
無理につくり笑いで私に告げたその顔を忘れることができません。

この生徒はこの4月から3年生になります。